- 自律神経失調症とは
- 自律神経失調症の原因
- 自律神経失調症の症状(自律神経が乱れると生じる症状)
- 自律神経失調症になりやすい人
- 自律神経失調症の診断
- 自律神経失調症の治療(治し方)
- 自律神経と「脳腸相関」について
- 自律神経失調症のセルフチェック
自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、何らかの原因で、活動性や緊張を司る「交感神経」と休息やリラックスを司る「副交感神経」のバランスが乱れることによって、様々な症状が現れ、その状態が続く状態です。交感神経と副交感神経が場面に応じてバランスを取らなくなるため、日常生活に支障をきたします。
自律神経失調症とうつ病の違い
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが乱れることによって起こる様々な症状のことで、それ自体が病気というわけではありません。一方、うつ病は、脳内の神経伝達物質の異常によって様々な症状が現れる精神疾患です。ただし、自律神経失調症とうつ病は共通の症状があるほか、自律神経失調症はうつ病を原因として生じることもあり、逆に自律神経の不調からうつ病を発症することもあります。
自律神経失調症の原因
自律神経失調症の原因は、自律神経のバランスの乱れであり、以下のような要因によって自律神経のバランスは乱れやすいとされています。
- 昼夜が逆転しているなど、不規則な生活
- 職場や家庭、学校、恋愛などによるストレス
- 配置換え、転勤、転職、転校、引越などの大きな環境の変化
- ホルモンバランスの乱れ(女性の場合)
また、特に過敏で緊張すると吐き気がするような人や、いろいろなことを自分で背負い込みやすい人は、自律神経失調症を起こしやすいとされています。
自律神経失調症の症状
(自律神経が乱れると生じる症状)
身体症状
- 頭痛
- 吐き気、嘔吐
- 便秘、下痢、便秘と下痢のくりかえし
- 頻尿や残尿感
- 微熱が続く
- めまい、耳鳴り
- 動悸、息切れ
- 手足のしびれ、冷え
- 口渇
- 倦怠感
- 疲労感が続く
- 汗をかきやすくなる
など
精神症状
- イライラ、焦りを感じる
- 急に不安になる
- 感情がコントロールできない
- 疎外されている、孤独だと感じる
- 気分が落ち込んでしまう
- 何をするにも意欲が低下している
- 抑うつ感がある
など
急に汗が吹き出るのは自律神経の乱れかも
自律神経失調症の症状として、何もしていないのに異常なほど汗をかくといった多汗症状があります。特に緊張するような場面でないのにかかわらず、脇や手のひら、足の裏などに大量の汗をかく場合は、自律神経失調症が疑われます。また、この発汗は制汗剤などでは抑えることができません。また、似たように突然大量の汗をかく症状として、更年期障害に伴うホットフラッシュという症状があります。
自律神経失調症になりやすい人
自律神経失調症の原因として大きく関わっているのはストレスであるため、ストレスをため込みやすいような性格の人は自律神経失調症になりやすいと考えられています。
- 生真面目
- 几帳面
- 責任感が強い
- 仕事、仕事や対人関係の悩みなど何でも一人で抱え込んでしまう
- 内向的
また、ストレスのほかに、虚弱体質や低血圧、冷え性といった体質の方は、自律神経が乱れやすいため、自律神経失調症を起こしやすいとされています。
自律神経失調症の診断
自律神経失調症は、症状があるものの、検査をしても異常が見つからないという特徴があります。そのため、検査によって総合的に他の病気がないかを確認し、他の心身症の区別をして、自律神経失調症の診断を行います。
自律神経失調症の治療
(治し方)
自律神経失調症の治療では、主に生活習慣の改善と、ストレス要因を遠ざけたり、ストレス解消に取り組むほか、精神療法を行います。また、必要に応じて薬物療法も行います。
ストレスの解消
散歩や体操、ストレッチ、入浴、好きなことや趣味に取り組むなどのストレスの解消は自律神経失調症の改善に有効です。また、どうしてもストレスの解消が出来ない場合は、ストレ
ス要因から一時的に離れることも重要です。場合によっては、配置転換や休職などをお勧めすることもあります。
生活習慣の改善
生活リズムの乱れは、自律神経の乱れに繋がるため、交感神経優位の日中は活動的に過ごし、副交感神経優位の夜間はリラックスして過ごすなど、生活リズムにメリハリをつけましょう。生活リズム以外にも、食事のバランスを整え、適度な運動や規則正しい睡眠も重要です。
薬物療法
薬物療法では、自立神経のバランスを整える漢方薬や、必要に応じて抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などを処方することがあります。
精神療法
精神療法では、生活の乱れを治す方法やストレスへの対処方法を共有した後、認知行動療法を用いて、不安やイライラの原因となっている認知の偏りを自覚し、症状を改善していきます。
自律神経と「脳腸相関」について
脳腸相関とは、自律神経系やホルモンやサイトカインなどの液性因子を介した脳と腸の深い双方的な関連のことです。消化管の情報は神経を介して大脳に伝わり、腹痛などとともに、抑うつや不安などの情動変化を引き起こします。そしてこれらの情動変化は、自律神経を介して消化管に伝達され、さらに消化管の運動異常を悪化させます。
自律神経失調症のセルフチェック
- 頭痛、めまい、たちくらみなどがよく起こる
- 動悸、息切れがよく起こる
- 急に胸が苦しくなったり息苦しくなったりする
- 手足がしびれたり冷えたりすることがよくある
- 胸やけ、胃もたれなどによって食欲がない
- 下痢、便秘、腹痛などがよくおこる
- 慢性的に肩や頸にこりを感じる、腰痛がある
- しっかり寝ているつもりなのに、疲労や気怠さが続いている感じがする
- 憂うつな気分になる、落ち込んでしまう、やる気がでない
- ちょっとしたことでもイライラしたり不安になったりする
- 金縛りにあう、悪夢をみる
このような症状のうち3つ以上当てはまる場合は、一度受診にてご相談ください。