予防接種とワクチンの役割
予防接種とは、感染症にかかる前に、ウイルスや細菌に対する免疫を作り、病気を予防するために、ワクチンを接種することです。ワクチンとは毒性を無くしたり、毒性を弱めた病原体の一部で、感染症の予防に用いられる医薬品です。予防接種を行うと、稀に熱や発しんなどの副反応を起こしますが、実際に感染症にかかるよりも症状が軽かったり、周りの人に感染させるリスクがないというメリットがあります。
感染症とは
感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が体内に入りこみ、体内で増殖することで発症する病気のことです。病原体の種類によって、発熱や頭痛、咳などの様々な症状が現れます。
ウイルスと細菌の違い
ウイルス | 細菌 | |
増殖 | ヒトや動物など、他の生物の体内に入り込み、その細胞内で増殖する | 自ら増殖する |
大きさ | 20~100nm(ナノメートル) | 1~5μm(マイクロメートル) |
構造 | 細胞を持たない(DNAやRNAとそれを囲む殻からなる) | 細胞を持つ |
抗生物質 | 効果なし | 効果があるものがある |
ワクチンの役割
「個人を守る」と「社会を守る」
予防接種の役割は主に2つあり、「個人の感染症の発症や重症化を予防すること」と、「多くの人が特定の病気の免疫を獲得することで、流行を阻止すること(集団免疫効果)」があります。集団免疫も獲得は、何らかの理由でワクチンを接種できない人の感染予防にも繋がります。
当院の予防接種(ワクチン接種)
インフルエンザワクチン
インフルエンザの予防接種です。インフルエンザワクチンは接種後2週間経過後から効果が現れ、5ヵ月間程度効果が持続するため、インフルエンザの流行のピーク(1~3月)に合わせて、遅くとも12月中には摂取することをお勧めしています。インフルエンザの予防接種は感染を完全に予防するものではありませんが、重症化を防ぐ効果があります。当院では、3歳以上の方からワクチン接種を行っています。なお、65歳以上の方は、一部公費助成を受けていただくことが可能です。
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌の予防接種です。肺炎球菌とは、肺炎の原因になる細菌です。肺炎は、日本における死亡原因の第3位で、特に肺炎による死亡者の97%程度が65歳以上の高齢者です。そのため、免疫力が低い高齢者の方は、前もって肺炎球菌ワクチンを接種しておくことをお勧めします。肺炎球菌の予防接種では、肺炎の発症を完全に防ぐことはできませんが、重症化を防ぐ効果があります。また、肺炎球菌ワクチンの効果は約5年間持続します。初回接種から5年が経過している場合は、再接種しましょう。
新型コロナウイルスワクチン
新型コロナウイルスワクチンは、COVID-19感染症を予防し、重症化を防ぐために開発されたワクチンです。現在、mRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)、ウイルスベクターワクチン(アストラゼネカなど)など複数の種類が利用されています。免疫系を活性化し、ウイルスに対する抗体を作ることで感染や重症化のリスクを低減します。接種後には、発熱や倦怠感、接種部位の痛みといった副反応が出る場合がありますが、通常は軽度です。